2015年7月10日金曜日

沖浦和光さんの果てしない夢!


瀬戸内海、村上水軍の海の民。
自分のルーツをそう語る沖浦和光さんが
2015年7月8日に亡くなった。

 お連れ合いの方から
「沖浦が気に入っていた映像を手に入れたい」と
間接的に連絡があった。

2000年に沖浦さんと一緒に旅をしながらつくった
「沖浦和光が語る被差別民が担った文化と芸能
〜日本文化の地下伏流〜」



知らないことだらけだったが出来上がった時に
「ようまとめたな〜」と褒めてもらったことを思い出す。
どうやら数ある映像の中で最も気に入ってくれていたそうだ。
本当にうれしい。

「ダァ〜、バァ〜」という言葉を混じえ、手振り身振りで
「歴史は上から見るんではなく下から見なあかん」
と語る姿は少年のような印象だった。

自分の枕でないと寝られないとか
撮影の合間には押し相撲の勝負を挑んでくるなど
無邪気な一面を持っていたことを思い出す。

ひとりで追悼上映。



差別をなげくのではなく、日本の文化や芸能を
被差別民の視点から紐解く沖浦さんの語りは
何かふさがれていた壁に穴を開けてくれたような気がした。

徹底的にフィールドワークにこだわり
文献に残されていない口伝を聞き歩き
豊富な知識で地下伏流の歴史を掘り起こした功績は
本当に素晴らしいと思う。

私もその人柄、考え方に大きく影響を受けた。

ずっともう一回撮ってみたいと思っていたが
それは叶わぬこととなった。

映像の最後で沖浦さんに ”夢” を聞いた。



「夢と言われても困るんだけどね。
まあいつも夢見て歩いているようなもんもんじゃないこれ、
やっぱし私今の世の中に不満足やし、
七十何年も生きてきたけどしんどい戦争もありましたし、
戦後の大動乱期でしょう。
ほいで今はなんかバブルかなんか、
ガタガタの世の中一体これはどないなるんやと。
なんとかせんといかんとそういう思いで生きてきて、
だから青春の志はまだそのまんまですな。うごいてないこれ、
まだまだ死に切れんとまだやり遂げることはたくさんあると、
だからまだまだファイト満々ですわな。
永遠に夢を…向こうはてなし山脈というんやけどな、
高野山の方。
夢は果てし無しとこういうことじゃない。あははは〜」


沖浦さんの志をしっかり受け止めたいと強く思う。

近いうちにぜひ追悼上映をやりたい。


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