「アンニョンハシムニカ…」
その先が出てこない。
3/28〜31まで、まだ少し肌寒いソウルに行ってきた。
ソウル・インデペンデント・ドキュメンタリー映画祭に「SAYAMA」が
招待されたのだ。
匂いや食べ物、ハングル、人々の雰囲気など私にとっては馴染み深いものだ。
しかし同時にまるで他人事のように遠い世界のことでもある。
日本では「金聖雄(キムソンウン)」とあたりまえに名乗っているが
実はこの名前17歳の時からの名前、未だに発音に自信がない。
金浦空港に迎えに来てくれた映画祭関係者に”ムニャムニャ〜”と
自分の名前をつげるとなぜかじわっと脇に汗がにじむ。
深い緑色のパスポートをリックサックのポケットにしまいながら
自分という不確かな存在を確かめる。
そんな複雑な思いとは裏腹にソウルの旅は楽しいものだった。
とりわけ作り手やスタッフたちと毎晩の飲みニケーションは刺激的だった。
映画祭は韓国の作品が中心で40本ほどが上映。
そのほかにアジア枠で中国、台湾、そして日本から
3本のドキュメンタリーが招待された。
印象的だったのはスタッフ、観客ともに若い!
さらに上映後の質問にみんな積極的に手が上がる。
内容についても製作についてもこの機会に
何かを持ち帰ろうという熱が伝わってきた。
特別プログラムとして中国、台湾の監督
そして「三里塚に生きる」の代島監督
「私たちに許された時間の終わりに」の太田監督とのトークセッションも企画され、
それぞれの製作過程や配給の方法などについて語り合った。
どの国もドキュメンタリーをとりまく現状は厳しいという、
寂しい共通点も再確認(笑)。
しかしあらためてこういう映画祭を続けること、
いい作品をつくってひとり一人に届けるというシンプルなことを
続けることが大切だと感じることができた。
あっという間の4日間、ずっと通訳をしてくれたジョンアと
スタッフのスジと記念撮影。心から「カムサハムニダ」。
最後まで手を振るふたりを後に、
リックサックのポケットから深い緑色のパスポートをだし、
私が生まれ育った国、日本へ向う飛行機に乗り込んだ。