2021年3月10日水曜日

裸の1万円札

『花はんめ』の舞台、川崎桜本。

清水の姉(孫分玉)さんの家に集まるはんめたちが主人公。

6畳の部屋に多い時は10人、
撮影スタッフも合わせると13人くらいになる超密。

そこでただご飯を食べて語り、歌い、時に踊る。
そんな時間がかけがないと思える。





忘れられない思い出がある。

20年以上前、
あるお正月の日に撮影におじゃました。
清水の姉さんは「よう来たなぁ」と
私に裸のまま1万円札を握らせてくれた。
もちろん断ったが断りきれずポケットに納めた。

以来ずっと折りたたんでお守りのように
財布の名刺入れのところに入れておいた。

「絶対使わない!」とがんばったが、
数年後、どうしようもなくなった時があり使ってしまった。

ずっと後悔し気にしていた。
しかしある時旅先で
『花はんめ』を観たという1世のはんめと出会う。
お互いに色々話した後はんめは、
別れ際、私に20ドル札を握らせてくれた。

今はその20ドル札を財布に忍ばせている。




在日一世たちは優しかったし、強かったし、たくましかった。 

『花はんめ』にはそのエネルギーがたっぷり凝縮されている。

今だからこそぜひ観てほし。